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AFTER SESSION with Tomoki Sukezane VOL.2 

2023.04.21feature

AFTER SESSION 

with Tomoki Sukezane

2021年から祐真朋樹をクリエイティブディレクターに迎え、新時代を築きつつあるランバン コレクション メンズ。彼はいかなる手法で、パリ最古のクチュールメゾンのエッセンスを再解釈し、現代にアップデートさせているのか?そしてクチュリエ由来のクラフツマンシップを貫き続けるランバン コレクションは、いかなる技術によって彼のこだわりと志を具現化させているのか?
2023年春夏コレクションが店頭に並んだ今、アフターセッションという形で両者のものづくりを振り返ってみよう。ふたつめは、フレンチリゾートのムードを濃厚に漂わせるリネンシャツについて。

VOL.2〝情熱と聡明〟のリゾートシャツ

カプリとは違う、フレンチリゾートの流儀

――さて、お次はリネンシャツについて伺います。プルオーバーのリネンシャツというと、「カプリシャツ」のイメージが強いですが、こちらはひと味違いますね。

祐真朋樹(以下祐真):カプリシャツのもつ快適な肌触りとか、プルオーバーのリラックスしたムードはいいんですが、そこはやっぱりランバン コレクションですから、イメージはゴーギャンが過ごしたタヒチです(笑)。

LANVIN COLLECTION(以下LC):祐真さんのそういったイメージをより具体的な色彩に落とし込むための手がかりとして、私たちは英国で活躍するアーティスト、LUBAINA HIMID(ルバイナ・ヒミッド)の作品集などを参考にしました。彼女はアフリカ系イギリス人なんですが、エネルギッシュでありながらも聡明さとクールさを併せ持っている点が、今回のテーマにはぴったりくるのではないかと。

祐真:ブルーを基調とした色の世界って、もともとランバンのテーマカラーなんです。それが時としてパキッとした発色になるシーズンもあれば、このシャツのようにスモーキーな調子になる時もある。

LC:洋服でいうと、アイリッシュリネンの後染めシャツをずっと着込んだような表情を目指したかったんですよね。そういう祐真さんのイメージに近づけるために、このシャツは麻を糸の段階で顔料染めして、さらに洗いをかけています。これによって糸がムラっぽく染まって、着古したようないい表情になるんですよ。反物を後染めしたような古い表情をつくるためにあえて糸を先染めするという、全く逆のアプローチを採用しているわけです。先ほどのニットもそうですが、当たり前のやり方を疑って、ものづくりを再構築したんです。

BRIGHT COLOR LINEN SKIPPER ¥27,500

ステッチの意味を再構築しよう

祐真:あとは襟の表情ですよね。いわゆるバンドカラーと開襟があるんですが、ランバン コレクションとしてはきちんと見せたいし、ときにはテーラードジャケットを羽織って着たい。

LC:リネンシャツの場合洗いざらしで着ることも多いので、意外とそれが難しいんですよね。なのでこちらのオープンカラーシャツの場合、後ろ側にハギをつくって、月型の台襟を入れています。これによって生地が安定して、イヤなシワができることもないし、後ろ襟を立たせてもいい。上にジャケットを羽織ったときも表情がつくりやすいんですよ。実はこれ、コートの襟のつくり方をシャツに転用しているんです。

――シャツでこのつくりは初めて見ました!

祐真:襟のステッチも見えないようにしてもらいました。そのほうがエレガントなので。これはランバン コレクションの多くのアイテムに共通する嗜好なんですけどね。

LC:そうなんです。ただ、縫い代が泳がないように裏側の見えないところにコバステッチは入れています。やっぱりステッチの役割はきちんと果たさないといけませんから。

祐真:この縫製、すごいでしょう? ぼくも最初に見たときはびっくりしたけど、確かに長い間着てもちゃんとしているんですよ。ちなみにバンドカラーシャツの背中には、サファリジャケットによく見られるプリーツを入れるなどして、当時のコロニアルな時代背景に沿ったストーリーを演出しています。

LC:ビジュアルと機能が一体化しているんですよね。

BRIGHT COLOR LINEN SHIRT ¥29,700

――ランバン コレクションと祐真さんの描くストーリーを表現するためには、とんでもないこだわりが必要になるんですね。しかしこのこだわりは、なかなか一般の人にはわからないような・・・(笑)。

祐真:それでいいんです。きっと着ていれば、何か違うなってわかりますから。

――祐真さんなら、このシャツをどんなふうに着ますか?

祐真:やっぱり避暑地やバカンスで着たいですよね。まさに今季のテーマである〝グランバカンス〟なアイテムなので。ぼくは普段半袖シャツをあまり着ないのですが、このオープンカラーシャツは袖口がターンナップ仕様になっているので、1枚でもサマになるんです。なのでこれはシンプルにギンガムチェックのトラウザースを合わせるかな。バンドカラーシャツはジャケットを羽織るか、1枚で着るならスカーフをサラッと巻いてもいい。バケットハットをかぶってもかわいいでしょうね。コロニアルなアイテムだけど、きちんとトラウザースをはいて、革靴を合わせるのが気分かな。

BRIGHT COLOR LINEN SKIPPER  ¥27,500
BRIGHT COLOR LINEN SHIRT ¥29,700

イタリアの名門生地メーカー、アルビ二社に織らせたリネン生地は、「洗いざらし」を意味するDELAVE(デラべ)という染色方法を採用。ヴィンテージを彷彿させるその発色は、着るほどに豊かな表情を描きます。カジュアルシャツながらも上品なデザインなので、リゾートから都会まで、幅広いシーンに対応するでしょう。

LINEN SHIRT ALL