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ランバン コレクション メンズ、今年の春夏のテーマは<エスプリ ヌーヴォー>

2024.03.08feature


Directed by_Tomoki Sukezane
「ALLO!ALLO!EXPRESS Vol.2」より)

LCM(ランバン コレクション メンズ)は、毎シーズン、ジャンヌ・ランバンが生きた時代に思いを馳せ、その時代背景や流行、そして、その時代を彩った人々や事件などに着目してテーマを決めています。今季のテーマ、〈エスプリ ヌーボー〉は、近代建築の三大巨匠のひとり、ル・コルビュジエが創刊した雑誌『L’ESPRIT NOUVEAU』(1920~1925年)にオマージュを捧げたものです。写真集などに映った彼の写真を見るにつけ、巨匠コルビュジエの着こなしは超絶こだわりが詰まったジェントルマンスタイルだったことがわかります。彼が残した偉大な建築物やドラマチックな人生に相応しいのはもちろん、まるで映画の主人公のごとき装いです。知的で洒脱、しかも慎ましやかなその雰囲気は、LCMが目指す方向性そのものでした。今季は彼が提唱した『ピュリスム』、『モダニズム』、そして『ミニマリズム』に学びつつ服作りに臨みました。コルビュジエが今生きていたらどんな格好をするだろうか。私たちはそんな夢想の旅に出たのです。心躍らせながら。


LCMのコレクションでは、毎シーズン、ペトロールカラーを活かしたアイテムが登場します。ペトロールは、黒、金、青と並ぶブランドカラーだからです。今季は、そのペトロールを茶色と合わせる提案をしました。
コルビュジエの数々の提唱の中に、「ピュリスム」という考え方があります。これは、1910年頃から絵画界の中心だった「キュビズム」を否定し、新たな価値観を見いだそうとした芸術運動で、「純粋主義」と訳されるものです。これは、絵画にとどまらず、建築やデザインにも影響が及びました。ファッション目線で見ると、ジョルジュ・ブラックとピカソが作り上げたキュビズムは、複雑で装飾的。本人たちの格好もまた、不良性が強く個性的で、「足し算」のスタイルでした。対するピュリスムはと言うと、無駄な装飾を省き、機能を重視したもの。「引き算」のスタイルです。コルビュジエのいでたちを見ても、常に最低限の礼節は保った服装で、不良感とはほど遠く、インテリジェンス溢れる雰囲気でした。

上の写真はコルビュジエの弟子、進来廉が建てた千葉県のBUNDLE GALLERYで撮影したもの。
空の青、木々のグリーン、そして地面の茶色など、有機的な色に囲まれた心地よい建物です。ここで、ドアや柱に使われた茶色を背景に、ペトロールやブルーのアイテムを合わせて撮影しました。最近、イタリアの見本市会場等で撮られたスナップを見ていると、「アズーロ エ マローネ」と称される茶色と青の組合せをしている洒落者がたくさん見受けられます。単に流行というだけでなく、空色と土色だと思えば合わないわけがありません。そこに木々の緑が加わるのも、自然で心地よい流れです。


ミッドナイトブルーや黒のアイテムは、LCMではセットアップで展開することがほとんどです。秋冬に限らず、春夏も全身ダークカラーというのがLCMのスタンダード。大人の男の魅力を追求した結果、ここにたどり着きました。今季は、コシとハリがあり、艶感のある生地をチョイス。その質感によって、ダークカラーが地味に見えたり“枯れ”感が出たりするのを回避しました。“渋い”と“ジジくさい”は紙一重ですから、そのあたりは十分気をつけないといけません。

写真のパンツは、定番のペダルプッシャーパンツです。スラックス然としたきちんと感とウエストゴムのラクチン感を併せ持ったデザインで、多くのリピーターを持つ人気アイテムとなっています。合わせたスリップオンシューズは、N.GWとコラボしたミッドナイトブルーと黒のコンビ。快適な履き心地ですが、雰囲気はドレスっぽいのがポイント。ブルゾンはパンツ同様、軽やかなウールの素材感が魅力です。ブルゾンとパンツのセットアップですが、それなりの場所へ着て行っても失礼ではないきちんと感があります。ウィークエンド、昼間は郊外にピクニックに出かけ、そのまま夜はパーティーに出席しても違和感はない、便利なスタイルだと思います。

写真の新作スニーカーは、アッパーのスエードのしっとり落ちついたテクスチャーと、パテントのトウの艶感の組合せがクール。全身、ミッドナイトブルーの世界に、靴のトウの艶が品良くドレスムードを醸し出してくれています。このスタイリングでも、ウッドボードの茶と、深いブルーのウエアの色合いがシックです。パーカ、パンツ、Tシャツは、先シーズンからスタートした〈Premium Lounge〉シリーズのもの。

〈ALLO! ALLO! EXPRESS〉、2号目となる今号では、僭越ながら、クリエイティブディレクターを務めます、私、祐真が「ル・コルビュジエになりきる」をテーマに撮影をして頂きました。なので、パイプをくわえたポーズにもお手本があります。
メガネは銀座にある@JUN GINZAでコルビュジエの画像を見せて同じものを作って欲しいとオーダーしたもの。ダブルブレストのジャケットはLCMでパターンオーダーしたものです。これを着てみたいと思われた方は、ぜひパーソナルオーダーサービスをご利用下さい。ダブルブレストですがさらりと着こなせるモデルとなっております。ピークトラペルはまさにル・コルビュジエ好みのディテール。品良く、控えめに尖ったラペルにしました。僕は煙草を吸いませんし、ましてやパイプ煙草になんて全く縁がありません。なのでいささか不自然なくわえ方になっておりますが、このスーツはそれを補って余りあるものに仕上がっていると思います。

上の写真でモデルのマシューが着ているジャケットの素材はグレンチェックのシアサッカー。軽やかで涼しく、気軽に羽織れます。蒸し暑い季節に、ある程度きちんとした格好を求められるシーンには最適なジャケットではないでしょうか。パッチポケットでラフな作りになっているので堅苦しい感じにはなりませんが、だらしない雰囲気にはなりません。エレガントなムードをまとった、頼りになるジャケットです。テーブル横に座ったトリスタンが着ているジャケットとパンツはシルクウール素材。シルクの柔らかさと肌触りの良さが特徴です。

「ALLO!ALLO!EXPRESS Vol.2」では他にもブランドの魅力を様々な角度からお伝しております。ぜひご覧ください。

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